握りばさみの形:Shape of a traditional scissors

  

上図は鎌倉政宗の握りはさみからトレースした平面図と側面図です。この図面から破線のところの断面形状を確認することができます。この断面の分布の面白さは,歯のつけ根辺りでは刃面方向に比較的大きな断面二次モーメントが配置されています。それより右側の断面は正方形に近く,裁断の際に,両刃で挟み込まれたものからの反力による曲げに対する対抗力が、刃面方向と、それと直交する法線方向の両方向に同程度にあることが読み取れます。そしてさらに右側の断面は,柄は刃面方向には相対的に曲がりやすくなりつつ,その法線方向には曲がりにくくなるように材料が配置され,刃先の噛み合いの安定性を生む方向にあるように思われます。そして柄の最右翼。側面図では最も幅広く展開している部分の厚みは最も薄くなっており,とってもしなりやすい材料配置になっていることが分かります。

この形は,しっかり刃先を安定する機能と切る動作を材料の弾性を活かして滑らかかつシンプルにサポートする機能の2つの機能を同一の材料で一体化するところに面白さがあります。正確には,この形へ整えていく際の鍛造過程,部分におけるその違いへの配慮も必要となると思われますが,まずは断面二次モーメントの分布に合理性が見られると言っても間違いはないようです。











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