当時のモノとヒトとの関係性をCADで考察するために,2.5D弥生人CADモデルを制作する
の論文があります。この論文の記載内容を手掛かりに縄文・弥生人の2.5Dモデルを作成してみましょう。要約に
がありますので,もともとの目標は弥生人でしたが,縄文人と弥生人両方のモデルがあってもいいかもしれません。弥生人モデルが必要なのは,稲作における当時の道具(モノ)とその使用者・制作者・維持管理を行っていた人(ヒト)との身体的,人間工学的関係性を探り,その残された形の意味を読み解くことを目的にしているからです。ところで。2.5Dにこだわる理由は,そのシンプルさとヒトとモノとの関係性をみるときの最もシンプルなものだからです。昨今の流れでは精細な3Dモデルの構築という方向を取りそうですが,ここでは,過去の再現アニメーションを作成することが目的ではなく,発掘された考古資料や伝承者,使用経験者が途絶えた民具資料に対する形態分析を目的としているので,その資料(モノ)とそれらを使用,もしくはそのモノとともに存在したヒトの姿勢,動きを第一次近似的にかつダイナミックに考察するために,システムに負荷を与えにくく,過度な情報による弊害の可能性を低減すると思われる2.5Dモデルが,研究初期の段階では適切であると考えています。
体型の特徴を評価するための説明因子としては,四肢長:胴体サイズ比,「橈骨 Radius/上腕骨長 Humerus 」(brachial index)と「脛骨 Tibia/大腿骨 Femur 長 」(crural index)という上・下肢の遠位/近位骨長比とされ,縄文人の特異性は「四肢の遠位/近位骨長比」によって示すことが注目されてきているようです。さらに,「縄文人の橈骨/上腕骨長比および脛骨/大腿骨長比は,アイヌを除く歴史時代日本人や渡来系弥生人と比べて有意に大きい。」とのことです。ここまでの記述に対して具体的なイメージを持つためには,各部位名称とそれらの図解が欲しいところです。そこで探してみましたら,https://digital.library.txst.edu/server/api/core/bitstreams/46ad16dd-b83e-4f68-9e4b-0ef3c0c41657/content
に以下の掲載がありました。
ということは,極端な表現を許してもらえるなら,鳥の骨格に近いのでしょうか。何か縄文人へのあこがれを感じてしまいます😃。
さて,この研究では「北海道から九州までの全国各地に所在する 20 遺跡から 出土した,縄文早期~晩期人骨 63 体について,四肢骨 長及び胴体サイズ(骨盤最大幅と脊椎高)のデータを収 集し,東北アジアに起源を持つと考えられる渡来系弥生時代人,および関東の江戸時代人などと比較する。」としてあります。具体的な数値の扱いが気になるところです。http://www3up.famille.ne.jp/~ochi/kaisetsu-01/04-kokkaku.html
これは貴重なデータです。先ほどの骨格図での測定箇所に加えて,骨盤最大幅と胴長が加えられています。平均値(Mean)の比較だけからは,弥生人の方が一回り大きく,brachial indexもcrural indexも,縄文人より大きいように見えてしまいます。何か読み間違いがあるのでしょうか。それとも,弥生人の個体差バラツキによるものなのかもしれません。
この表から,弥生人男性の平均的な身長を推定しますと,下肢長+胴長=771.5+378.1=1149.6となり,一般的に言われている弥生人男性平均身長から推定すると,大腿骨の骨頭から最下端の腰椎までの距離と頚椎の最下端から頭頂(全頭高+頚椎の最下端から顎下まで)までの距離,そして足高(床面と脛骨最下端間の距離)の和は450程度となります。全頭高は一般的に232.0程度とのことなので,残りの220程度は,大腿骨骨頭から腰椎までと顎下から頚椎最下端まで,そして足高に配分されることになります。大首の自分の顎下から首の付け根までの距離が50程度,大足の足高は90程度なので,80を大腿骨骨頭から腰椎までの距離として弥生人モデルの基準としてみたいと思います。おそらく大首大足短足胴長の自分の体型が,弥生人の皆さんには大変失礼かとは思いますが,近いものがあるのかもしれません。
を準備してみたいと思います。かなり手荒い準備ですが,まずはこれで挑戦してみて,調整を進めてみたいと思います。
すでに,身長1600mmの現代人プロポーション2.5DモデルがFreeCADで準備されているので,このデータをベースの上記の寸法に合わせていきます。ワークベンチはDraftとし,ModificationのMove,Rotate,Scaleを中心に形状調整を行っていくと,比較的容易にできるかもしれません。
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